2009年12月24日木曜日

読書記録:聖職の碑

新田次郎の山岳小説は、自分の体験と重なることが多い。この駒ケ岳遭難事件を読む直前には、伊吹山に出かけ雨と霧で遭難寸前になった体験がある。この時は神社の社に避難できたので、何とか難を逃れたが、自然の中での人間の弱さを実感しているので、話が良くわかる。
小説は基本的に虚構であるが、それを読んだ時に読者が如何に疑似現実の印象を受ける方が、その大切な要因だと思う。あまりに荒唐無稽なお話は、単なる妄想であって、そこに何かを感じることは少ない。現実の社会や生活の中での体験と重なるところがあってこそ小説だろう。
であるならば、中高年軽登山を趣味とする自分にとっては、目標としての本格的登山において受けるであろう色々な困難を疑似体験させてくれるこれらの山岳小説は、単なる娯楽ではなくて、1つの人生の指針となるものだろう。そう思うと1行に内容にも深い納得を覚える。

0 件のコメント: