2009年1月20日火曜日

読書記録:光る壁画

基本的に小説は読まないが、ノンフィクションに近い吉村昭は随分と読んでいると思う。単なる史実を述べるだけでなく、その歴史の流れの中での人間の動きがよく描かれていて、小説としての魅力に引き込まれ、一気に読んでしまうことが多い。
しかし今回の「光る壁画」については、ちょっと期待はずれであった。まあ話題が戦後の比較的新しいもので、それほど大きなドラマがなく淡々と開発物語が綴られていくが、全体に小説としての魅力に欠けるのが、本音である。
特に単身赴任して妻との距離が、主人公の気持ちを色々と混乱させる部分もあるが、それも大したドラマもなく、平凡な展開に過ぎない。著者を弁護すれば、話題の枠が小さすぎて、取り上げるだけの重荷がなかったのではないかと思う。

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