主題だけだと意味が分からないが、副題は世界の車を支える最強技能集団となっている。
実は連続2冊デンソー関連書籍である。日本のものづくりの頂点と言えばトヨタの自動車生産と思われることが多いが、本当に日本らしいものづくりを極めているところとすれば、デンソーの方があっていると思う。技術と技能をきちんと位置づけて、それを担う人に最大限の関心を寄せる経営方針は、振り返るべき考えだと思う。
トヨタのものづくりに非は無いのだが、自動車がこれだ多様な部品、それを構築する高度な技術の集積だとすると、組立工場よりも個々の部品の完成度が車としての価値を決めているのではないかと思っている。単に走ると言う最低限の機能だけでなく、快適性と言う定性的な評価に耐えなければならないとしたら当然だ。
本書にも紹介されているが、製品のコスト削減の近視眼的対策として、人件費の安い海外での生産が行われ、これを国際化:グローバル化と呼んでいることがあるが、安易な海外生産は、ものづくり日本を台無しにする、非常に危険な行為であると言ってよい。貿易摩擦や現地生産には、国際的に有意義な展開であることは理解しての議論である。
江戸時代の鎖国が、からくり人形や各種工芸など日本固有の技術体系を形作る基盤になったことを考えると、むやみに開放し真似ることが国際化とは言わないと思う。
グローバルスタンダードだとか言って、アメリカナイズされることすることに慣れてしまっている人が多い中で、日本は、自分の立場を踏まえた大きな反省が必要だと思う。自己の確立なくして他者との関係は作れないわけで、ただ同じ基準でやっているから国際化していると言うわけでは決してないはずだ。
自分自身のやり方をよくよく考えて、信念と理念を持って、ただひたむきに努力した結果が、その存在を認められ国際的にも自立した存在としていけるのだと思う。その思いを本書を読んで強く感じだことだ。最近、研究室のスタッフの育成に頭を悩ますことが多いが、もう少し、人を信じて待ってあげられる様になりたい。
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