2007年7月5日木曜日

読書記録:スーパーコンピュータを20万円で創る

スーパーコンピュータを自力で作るなんて、それも素人が作るなんて、とても夢のある驚く話である。このネタを以前から知っていて、技術的な概要は知っていたが、この本はむしろ、このプロジェクトを取り巻く人間ドラマを扱っている。
題材的には非常に興味を引くものだが、致命的な欠点がある。これは著者も意識していることだが、登場人物が著者となったノンフィクションは何かおかしいと言うことだ。これが自伝ならば、主観を中心に書かれ、読書もそういう意識で読んでいるので、違和感はない。しかし、あたかも客観的なノンフィクションのような形式を取りながら、著者が登場していると、どうしても、著者と周りの人間との記述に、意識的な偏向が入っているような気がしてしまう。
自分の生き様と言うのは、その人自身または近い人々の間では、話題となることはよくあることだが、この様な場合には、穿ってみると愚痴を言っているだけにも思えてしまう。皆それぞれの立場でそれぞれに生きているわけで、断片的な印象や単純な評価は実は当てにならない。
そういう意味では、得るところは大きいのであるが、この記述の形式には限界もあったと認めざるを得ない。しかし、レベルは違うものの自分も同じような状況にあるわけで、どこも同じなんだなと言う、なぜか安堵感は持つことが出来た。

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