この所、忙しい合間に小説を読む息抜きを覚えた。でも、読むのは仕事の中に生きる人間を描いたものが多い。今回は、雑誌の書評で知って、すぐに注文して読み終えた。小説としての、つまり娯楽としての要素もあるにはあるが、むしろ、組織を統率して大きな目標に挑むリーダーとしての心構えを学ぶことができる。下手なビジネス本のハウツーよりかは、よほどためになると思う。楽しみながらだから、速く読めるしね。
物語は、黒部発電所に関する隧道(トンネル)工事の記録文学であるが、ただでさえ危険を伴う土木作業現場であるが、題名にもあるように、岩盤の温度が160度超える過酷な状況の中で、人間と自然との壮絶な闘いが描かれている。自分も、結構、修羅場を経験しているつもりであるが、隧道工事に比べれば、自分の状況などは天国に思えてきてしまう。自分は、仕事命の傾向があるが、それでも耐えられるか不安に思ってしまう。
何か目的を達成するためには、何かを失わなければならない、何も損なうことなく大きなものを得ることは無理だろう。例えば自分ならば、余暇の時間を削って研究に打ち込むことが多い。しかし、この物語では300人もの人名が失われている。自然の強大な力の前に、不可抗力の部分があるが、それでも現場の責任者たるもの、どのような心構えが必要なのか。「必死にやる」と言う本当の意味で、命を削ってまで取組んでこそ、大きなことを成し遂げるのだと思う。
まだまだ甘い自分であるが、心の大きな支えとなった。
0 件のコメント:
コメントを投稿