大学とは異なるとある教育研究組織に所属している自分であるが、13年間の経験上、色々な戦略のもとで研究活動を行うようになった。これをまとめておきたいと思う。
1:共同研究と共同開発は違う
自分の定義では、共同研究というのは企業側にあるとある問題を、大先生の経験と知識で解決すること、そしてその結果が学界的にも有意義な成果として、学術論文として成果発表することを第一目的にしていると思う。しかし、共同開発と言うのは、企業と学校がそれぞれアイデアを持ち寄り、問題解決の手段やシステムを新たに作り出すことを第一目的としていて、ここではあくまで製品開発というはっきりとした目標があって、企業と学校はパートナーとして同じ立場で活動することになると思う。
自分の立場は、あくまで共同開発であって、学界的な論文発表は、第二目的と割り切っている。
2:大学とは違う立場を生かす
大学では、特に大学院レベルになると、学会発表や論文発表が研究室スタッフの学生の学位論文にとって不可欠なものになる。そのため、指導教員も活動の成果が論文発表を第一目的とせざるを得なくなっている。これは当然で、現在の学位取得の審査において学会が大きな意味を持っているからだ。しかし、大学と異なる自分の所属する組織では、学位論文において学会発表などの義務が多少あるものの、大学院で必要とされるレベルではない。
そのため、自分の研究室では、論文発表に拘らず、共同開発に専念できることになる。
3:あくまでパートナーに徹する
どうしても、大学の大先生は、学生を見るような目線で企業を見てしまう節がある。企業がチャレンジしようと持ち込んだ共同開発課題について、なまじ知識と経験があるものだから、簡単に否定的な判断を下しがちだ。自分の周りの大先生でもそういうことがあって、回りまわって自分のところに依頼がたらい回しになり、引き受けたものがある。でも、それが非常に大きな成果になって、全国的なテレビ報道を受けるほどの価値を持つものに成長している。
なまじ経験と知識がない若僧こそ、共同開発のパートナーには適していると思う。
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