2009年8月15日土曜日

読書記録:世界は分けてもわからない

前の新書が100円の価値しかないと断定したが、今回は780円出した以上の知的興奮を得ることができた。非常に価値の高い本であった。まあこの判断は、本独自のものではなく、自分との関係の上で作られる判断であって、他の人には別の評価ができるであろう。
生命科学と言う現在最も注目を集める分野において、単に学術的な評価を得るだけでなく、その知的エンターテイメントとしてのジャンルを作りだしたことが、この著者の大きな功績だと思える。それでいて学術的な研究もしているのだから、大したものだ。
工学と理学では、その目標とする価値観が大きく異なることがわかる。工学には有用性と言う最大の目標があるが、真理と言うものはない。社会や条件などによって、どのような評価もできるし、時とともに技術が進歩してゆくので、絶対的な真理に突き進む価値観はない。
でもその時その時に、必要とされるものを提供できるような技術、生産性を上げ効率化を成し遂げる技術はあるはずで、それをニーズに応じて提供できるようなそんな仕事をしておきたい。お盆休みの貴重な時間であったが、たった2日間で一気に読んでしまった。

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