2007年12月19日水曜日

研究指導:危機意識を持つこと

研究室は、学生スタッフと指導教員からなる組織である。まさに、中小企業のようなものである。しかし、給与や責任など、企業とは違っているところも多く、単純な比較は出来ないが、まあ、あながち的外れなわけではないと思う。
研究室なら運営だろうが、企業と言えば経営になり、最近、経営の本をずっと読んでいる。とある本によれば、経営の要点は、次の5つだそうだ。「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」確かにねと思う。ここに尽きるわね。
それでは、研究室の現状の問題点を、この5つの側面から見ていこうと思う。
ヒト:研究室では、中途採用もないし基本的に解雇も無い。だから、現在のスタッフが全てであり、入れ替えは年度ごとにしかない。また、研究室の活動におけるインセンティブが、幼い学生にとっては理解できないため、このギャップに悩むことになる。努力はするものの、何ともならないことも多い。基本的に優秀な人材を求めることは、どこも同じ。
モノ:とりあえず研究に必要な設備などは、実験系でないので、基本的にはそろえてあり、それらの研究資源がずっと蓄積されてきている。そうすると、研究室の空間は限りがあるのに、ものばかり増えて、逆にプロジェクトで必要なものが展開できない状況である。研究環境整備も、研究成果をあげるための、大きな条件になるのだと、痛感している。
カネ:潤沢かと言えばそれほどでもないが、予算が足りずに活動が制限されることは、今のところ無い。むしろ、消耗品的に予算を消費するのではなく、研究室の未来に投資できるような活用を目指したい。研究資料やソフトやハードなど、闇雲に導入するのではなくて、投資と効果をきちんと狙って、研究成果や研究効率を上げる投資をしたい。
情報:今日の意見交換のテーマの1つがこれで、大きく分けて2つのテーマになる。
=研究室の知的財産を、継承発展してゆくための方法を考える。文書による継承は、部分的には可能だが。文書に依存しすぎても発展が望めず、常に資料をバージョンアップする意識で、研究作業に取組むことが必要だ。行間を読むための知恵が必要である。
=問題にぶつかったとき、まずは自力で解決するためには、正確かつ具体的に問題を本質をつかみ、ヒントを見つけて、それを手がかりに検索によって、解決までつなげてゆくことが必要である。そのときに英語の文書であっても、避けずに取組む必要がある。
時間:研究成果は、才能×時間×努力で決まると思う。掛け算であるので、何かが極端に悪いと他が良くてもダメである。なので、どれも程ほどに良いと掛け算で結構大きな成果になる。しかし、凡人は才能が少ない場合が多いので、その時には時間×努力で膨らませるしかない。もし集中力も無かったら、もう時間をたっぷりかけるしかない。
とりあえず、研究室の現状を5つの側面から分析したが、今の状況は、向上期を過ぎ停滞期にきて下落期に入り始めている。危機感を持って立ち向かわないと、数年後の研究室の哀れな状態が目に移る。今、自分は何をすべきなのか、常に考えて行動して欲しい。

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