2007年6月12日火曜日

読書記録:最強ヘッジファンドLTCMの興亡

自分はとても単純な人間なので、何を読むかで、気持ちや考え方が大きく左右される。最近は、ビジネス的な志向が強く、このLTCMについては、数年前も興味を持って、そのときはもっと憧れ的に読んでいたのだが、今回は覚めた視点で読むことになった。
この地球上を多い尽くしている考え方、それは資本主義なのではないかと思う。政治的なイデオロギーが色々ある中で、現時点で世界が認めている価値は「資本(要は金)」になっていて、これを中心に地球が回っていると思えてしまう。何か心情的には反論もあるとおもうのだが、そう思えてしまう現実がある。
そこでは、何とか少しでも多くの金を得ようと思って、地道に努力する人、賭けに出る人、色々出てきて、色々なドラマが生まれている。金は無いよりあった方が良いと言うけど、実はそんなに生易しいものではなくて、魔法の魅力を持って人々を惑わしている。これに勝ち抜く人もいれば、押しつぶされる人もいる。
このお金は、偏在が著しいもので、本当に天と地ほどの差が出来ている。本来は、お金が何かを得るための手段であったのに、お金を得ることが目的にすり替わったのではないかと思うほどである。昔の王様の時代からそうで、富や力の偏在は社会構造を規定する基本になっている。だから、これを否定する気はなくて、そうなのだろうと納得している。
しかし不思議なもので、自然はエントロピーの法則に従って、全てのエネルギーなどは均質化の方向に向かうはずだと思う。しかし、そこに生まれた生物、特に人間というものは逆エントロピーの法則に従って行動している。つまり、組織化を進め、富や力を偏在化させている。不思議な存在である。他の生物はこれほど極端ではないと思うのに。
つまり生物の進化というのは、このような高度な組織化とそれに伴うエネルギーの局在化を進める方向に進んでいるのではないかと思ってしまう。つまり、格差社会はその種(つまり人間)の進化の証であって、逆らうことは出来ない流れなのかもしれない。本当にこのまま、富と力の局在化を突き進めていいものか?本当は良く分からない。

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