グーグルには常に興味を持っている。非常に斬新なアイデアを、高い技術力で実現してゆく。IT技術者にとっては憧れの職場なのではないかと思う。この本を読むと、まずはグーグルの表面的な光の部分が展開する。世界最高の頭脳集団が、インターネット上に新しいアイデアを次々に実現してゆく。これらのサービスのお陰で、本当に色々な場面で便利になっている。
これらのサービスはほとんどが無料で、本当にグーグル様様という感じである。そういう自分も、色々なサービスの恩恵を受けているので、その内容は実感として理解できる。現時点でのグーグルであっても、インターネットの特性を生かした、本当にいろいろなサービスがあり、助かるなあと言う感じである。
しかし、グーグルの目指すところはこの程度では収まらない。世界のすべての情報を、収集して整理することを目標にしている。大変大きな目標であり、社会からは野望または暴挙と取られているのかもしれない。しかし、バビロンの塔ではないが、全てを収集して完全なものを作るというのは、神に憧れる不完全な存在の人間の永遠の夢なのかも知れない。
つまり、個々の人間は様々な情報を持った存在であり、それらがネットワークで統合することにより、1つの総体になったとき、それが神に近い存在になるのかもしれない。とまあSFのようであるが、今から100年先には実現しているのかもしれないと思えてきています。インターネットでは、未来を予測するには、未来を創ることだと言われていますし。
本書の後半では、そこまで行かなくても、現時点での未来に対する影の部分が指摘されていて、ビジネス面でのグーグルの目指すところが、個人情報保護から見た時に摩擦を起こすことである。確かに、グーグルのビジネスの基本である広告は必要であり便利であるが、うっとおしい時も多いのは事実で、まあ問題だが、それほど大きなことではないと思える。
本当に重要な問題は、人間個体としての退化に繋がるのではないか、つまり、頭脳の記憶や判断という機能をインターネットを用いて外部記憶に頼ることで、頭脳とネットワークとの総体では成長を続ける人類であるが、そこではネットワークの成長に寄りかかり、頭脳の成長を止めてしまうこと、つまり退化が進んでいるのではないかと言う懸念である。
しかし、自分の立場は楽観的で、そのような仕組みを作ったのは人類で、作られたネットワークを人類が制御しきれなくなることはないと信じている。人類の頭脳があってこそのネットワークであり、頭脳が退化してネットワークだけが成長を続けることはあり得ないと思っている。大丈夫だって、人類はそんなにヤワではなくて、しっかりしているよ。
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