自分の尊敬する技術者は二人いて、西堀栄三郎と本田宗一郎である。特に、本田は著名人として書籍も多く出されており、これまでに数十冊は読んできている。これだけ読むと、殆どのエピソードはどこかで出ており、改めて発見することは少ないのであるが、それでも何度も読んでしまう。
本田の生きた戦前戦中戦後、そして高度経済成長とは、まったく異なる社会背景であるので、彼と同じ生き様は今は無理だと思う。それは時代の変化だからしょうがないとしても、その精神スピリットは受け継ぐことが出来ると思う。「夢を力に」とはとても良い題名だと思い、気に入っている。
彼の主張は、常識的な判断の裏を行くものが多く、どちらかと言うとへそ曲がりのようなものなのだが、実績があるのでその主張もうなずいてしまうことになる。とにかく、夢を追い求めることに人生を費やし、その夢も社会を豊かにすることとして感謝され利益をあげることも出来、世界的企業を作り上げたことになる。
しかし、彼の著作を読むと、人生としては大成功であったと言えるが、1つ1つの出来事を見ると、多くが失敗か無謀になっている。また非常識な行動も多く、このようなやり方は現実には許されないだろうと思ってしまう。現代で、彼のような行動の表面的なことは、決して受け入れられるものではないだろう。
色々な人と係わりながら共同研究などを進めてゆくと、全てが満足の行く結果になっているわけではなく、色々な理由で頓挫したり失敗している。毎日が努力と緊張の連続で、その結果、思いもかけぬ展開に喜び、努力の甲斐なく挫折し、これを日々繰り返しているのである。そういうものなのだろう。
とにかく、大きな夢を目標としながらも、1日1日をこなしてゆくのに精一杯であるが、その中から、少しずつでも前に進んでゆけるようにしたい。
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